市中病院での小児科研修について【実際に2ヶ月間研修した感想】

M.A

ここ2ヶ月は小児科を研修していました。医者として働くと必ず小児を診察する機会はあると思います。
小児科は現在の厚生労働省のルールでは基本的に研修しなくてはいけない診療科になっています。
今回はその小児科での研修について自分の経験も踏まえて勉強しておくことや準備しておくことなど書いておきたいと思います。

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小児科研修の概要

小児科研修は現在の研修プログラムでは必須となっている病院も多いと思います。
他の多くの診療科では小児を相手にすることは少ないのでとても貴重な機会です。
小児の点滴を取ったりなどは他の診療科ではなかなか経験しません。
また小児は薬の量も特殊であり基本的に体重ごとに量を計算します。

かなり専門的な領域のため子供を苦手としている先生も多いと思います。
将来自分が当直に入ったときに子供が来ることは十分ありうるのでぜひ学ぶべき診療科だと思います。

小児科研修で学べること、経験できること

小児科研修で学べること

小児の基本的な診察はもちろん学べます。薬の処方量なども一度は経験するべきだと思います。

ただ学べることといえば一番は疾患に関してですよね。
小児科は小児科の中でも循環器、腎臓、内分泌、消化器、NICUなど多くの専門に分かれており、一般的な市中病院ではあらゆる臓器の疾患を経験することになります。
もう一つ小児科で学べる重要なポイントは小児の成長についてや社会的な問題についてです。
成長に関しては必ず子供を診察するときに頭に入れておかなくてはいけないポイントです。
社会的な虐待などの問題も重要ですね。児童相談所に相談しなくてはいけない場合などもあります。
小児科は本当に広いので研修だけではなかなか学びきれない分野でもあると思います。

小児科で経験できること

小児科で経験できる手技としては、

  • 採血
  • ルート
  • 腰椎穿刺

などでしょうか。これらは比較的小児科の中では良くある手技だと思います。
小児というだけで成人相手よりも難しくなってしまうので一度は経験した方がいいと思います。
小児はとにかく動くのでしっかり抑えるなど準備が重要ですね。

小児科研修の仕事内容

僕の研修している病院ではまず朝に前日入院の患者さんのプレゼンテーションがあります。
その後はNICUの回診をしてその後一般病棟に行きます。
一般病棟の回診の前にチームごとに各患者さんのプレゼンを簡単に行い、回診、カルテ書き、処方や点滴のオーダーなどの業務を行います。
その後ひと段落したら新生児の診察を行うというのが基本的な流れになります。

この基本の業務に加えて帝王切開の立ち合い、救急対応、外来からの入院の手続きなどがあります。

帝王切開の立ち合い

帝王切開の立ち合いでは基本的に生まれたばかりの新生児を診察してApgar Scoreをつけていきます。
状態をみて入院するのかお母さんと同室でいいのかの判断を行います。
場合によっては新生児蘇生が必要でNICUに入院となったりしますね。

救急対応

救急車の対応はもちろんあります。
僕が2ヶ月間小児科で研修して一番救急要請で多かったのはけいれんだと思います。
やはり親としては子供がけいれんしたら不安ですよね。
多くは熱性けいれんでしたが、無熱性けいれんの子供もそこそこいました。
けいれんの他には発熱して元気がない子供なども救急車で来ることがありました。
糖尿病性ケトアシドーシスも2ヶ月で3例ほど経験しました。
Aラインを挿入して頻回に採血となるため来院後はICU管理となっていました。
1例だけ心肺停止できた子供もいました。

外来からの入院の手続き

多くの子供は外来を受診して入院となります。
受診したがあんまり食事が取れていなかったり、炎症反応がかなり上昇しているなどの症例は入院となっていました。
ホルモン分泌を調べるための負荷試験や腎生検のための検査入院もそこそこいました。
これらの患者さんの指示を入力したり診察したりが仕事になります。

小児科の仕事全体を通して

やはり小児の点滴をとったり診察したりというのは小児科でしか経験できないことなのでとてもいい経験になりました。手を振ったりなどのコミュニケーションもなかなか大人では行わないですね。
小児科を研修するまではずっと大人と接する機会が多かったので最初は難しさもありましたが慣れてくると楽しく診察することができました。

小児科研修への準備

本に関して

僕の研修した病院では小児科のマニュアルがあり、基本的なこと(体重あたりの薬の使い方やよくみる疾患の対処法に関して)はそこに記載されていたのであまり薬の本を購入したりすることはありませんでした。
ただ何かしら一冊は小児科についての基本的なことが書いてある本があるといいと思います。

僕は初期研修医、総合診療医のための小児科ファーストタッチという本を購入しました。
周りの人もこの本を持っていました。

内容としてはファーストタッチに特化しており、そこまで深い内容について書いてあるわけではありません。外来での初期対応などを経験する場合はシンプルにまとめられたおりわかりやすいです。
小児科研修のマニュアルの様なイメージです。
疾患について深く勉強したい場合はガイドラインや成書を読む必要がありますね。

またこの本は病棟管理などについてはほとんど触れられていません。
なので病棟業務がメインの研修病院だとあまりお勧めしません。

診察道具に関して

まず服装に関してです。
あまり白衣での診察は良くないという様に聞いたこともありましたが、上級医の先生で白衣を着ている先生もそこそこいたので診察の服は何でも良さそうです。
多くの先生はスクラブで診察していました。

道具に関しては特に変わったものはありません。小児用の聴診器もありますが基本的に病棟に置いてあったりしますし、小児科志望でなければあえて購入する必要はありません。大人用でも十分聞こえます。
小児は咽頭炎、扁桃炎などが多いので口腔内を診察することが多いです。ペンライトはあった方がいいと思いました。この記事にも書いたLUMINTOPのペンライトが周りの研修医でも使ってる人が多く、おすすめです。

まとめ

小児科はかなり専門的な分野だと思います。
薬の量なども独特であり、本人があまり症状を訴えることができないところなども特殊です。

僕がみた病院では小児お断りなどという病院もありやはり慣れていないと難しい分野なんだなと思いました。
あまり他の診療科では子供は経験しないのでぜひ一度小児の診察を経験してみることをお勧めします。
どの診療科もそうですが研修は2ヶ月とるようにしましょう。1ヶ月だけだと仕事に慣れるだけで終わってしまいます。
小児科は軽症が多く、入退院のペースも早いのでなかなか患者さんの把握も大変ですが小児科にならない人にとっても数少ない子供と関わる機会なのでぜひ研修することをお勧めします。
また将来自分の子供ができたときのも役に立ちますね。

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