【研修医による】喫煙者の麻酔について

病院に行くとよく「タバコは吸っていますか?」って聞かれますよね。麻酔科でも必ず手術前に聞きます。でも実際に喫煙は麻酔に対してどのような影響があるのでしょうか?この記事ではこの点について簡単に説明していきたいと思います。

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結論

タバコを吸っていると必ず痰が増えます。タバコをやめて2週間くらいが一番多いようです。簡単に言うと麻酔中にその痰が詰まって呼吸ができなくなってしまうリスクがあります。

少し詳しく

麻酔では薬の影響で呼吸が止まってしまうため必ずマスクを当てて強制的に呼吸を行います(マスク換気)。十分に酸素が体に蓄えられた後、口を大きく開いて気管に管を挿入します(挿管)。この時点で痰が多いとマスク換気がうまくいかなかったり、痰で気管が見えずうまく挿管出来ない可能性があります。挿管出来ないと呼吸ができないので死んでしまいます。
手術が終わり挿管した管を抜く時(抜管時)も痰が多いと誤嚥してしまい肺炎になってしまうリスクがあります。
さらに喫煙者は閉塞性肺疾患と言って息を吐くのに時間がかかるようになってきます。そのためしっかり人工呼吸で息を吐く時間を作るように設定する必要があります。
あまりに肺の状態がひどい場合は手術が行えない場合もあります。
あとは喫煙していると歯が脆くなってしまいます。歯がぐらぐらするのも挿管の際に歯が折れて気管に入るなどのリスクとなってしまいます。

対応

上にいろいろ書きましたが喫煙しているからと言って手術ができないわけではありません。挿管、抜管の際はしっかり吸引管を準備して痰を吸い、呼吸器の設定もしっかり呼吸を観察して行えば問題はありません。ただやはり吸っていない人と比べるとリスクが高いことは間違いありません。手術を受ける時はできるだけ早めに禁煙を行いましょう。

ただ実際は喫煙は癌のリスクなので手術を受ける人の中で喫煙者の割合はかなり高いです。まあ仕方ないですね。

まとめ

いろいろ書きましたがとにかく手術で麻酔を受ける時は喫煙は良くないです。
タバコを吸う時はしっかりと発がんやこのような麻酔のリスクになる点など様々なリスクがあることを理解した上で行って欲しいですね。

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