多くの医師はいつか大学院に行くのが定番の流れになっています。そして中には私のように早めに大学院に入学する人もいると思います。そんな大学院ですが、「何か勉強しておいた方がいいのかな?」と思う人もいると思います。
もちろん医師として働いている間はあまり時間がないかもしれません。ただ、学生時代や研修医時代など少し時間があるときに将来、医学研究をするにあたって勉強しておいた方が良いと思うのがプログラミングです。誰しもがスマホを使う時などにお世話になっているものですが、これが現在の研究では必須になってきています。今回はそのプログラミングに関して簡単に解説しているので大学院で医学研究する予定がある人はぜひ参考にしてみてください。
プログラミングが医学研究で活躍中!
最近、少し流行りでもあるのでRやPythonといった言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。これらはプログラミング言語の一つです。プログラミングとは知っている人も多いと思いますが自分がやりたいことのコードを書いてそれをコンピューターが実行してくれるものです。
大学院での研究テーマは医師であれば基礎医学が多いと思います。いわゆる病気の原因などを考えていく領域ですね。そんな基礎医学研究で現在台頭してきているのが、バイオインフォマティクスと呼ばれる遺伝情報などの分析を数学的に行う分野です。そのため基礎医学は近年扱う情報量がかなり大きなものになってきています。ある程度の情報量であればエクセルに手入力で計算するみたいなことも可能ですが、それでは厳しいような大きなデータを扱うことが出てきます。
具体的な例として、シングルセルRNA解析という一つの細胞のRNAを読むという技術があり、最近の論文では非常によく用いられています。この解析に関しては数千〜数万の細胞のRNAというとても膨大なデータを扱うためプログラミングの力が必須になります。もちろん大学院の間に勉強することもできますが、時間があるときに勉強しておけば良かったと僕は思っています。
プログラミングといってもたくさんの種類があります。ゲームで最近使われているUnityのようなものもあれば、流行りの機械学習でよく用いられていつPythonなどがあります。数多くある言語の中で私が医学研究をする上でおすすめなのがPythonとRです。ここからはこの二つに関して医学研究での用途をメインに解説したいと思います。
Pythonについて
Pythonは今最も人気のあるプログラミング言語といっても過言ではないと思います。流行りの理由としては書きやすい点と機械学習方面の機能が充実している点にあると思います。医学研究という観点においてもかなり使われている言語です。僕は先程も少し説明したシングルセルRNA解析(scRNA-seq)でプログラミングを用いていますが、現在この解析における使用率は50%程度あると思います。(論文を読むとMethodというところがあり、そこでどのプログラミング言語を用いて解析しているかや、その解析のコードが公開されています。)ちなみにもう半分がこの後説明するRになります。
Pythonはこの医学研究以外の使い方もたくさんあり、勉強しておくとたくさんの使い道があると思うのでこれからプログラミングの勉強を始めるという人はまずはPythonから始めるのがいいと思います。
Rについて
Rはかなり統計に特化したプログラミング言語になります。医学研究という用途に関してはかなり前から使われていてここまで何回か登場したシングルセルRNA解析に関してはRを用いている論文の方がまだ多いです。僕もこのRを主に使っています。Rの特徴としてはデータ解析に特化しているため数字の扱いがPythonよりも若干簡単であるという点だと思います。またグラフもggplot2というパッケージがあり、綺麗に書くことができます。論文を見ているとGraphPad Prismを用いてFigureを描いている論文が多いですがたまにRだけを用いている論文も見かけます。
ここまで二つの言語を紹介しましたがどちらも基本的なことはできるので正直どちらを勉強してもいいと思います。また突き詰めていくとどちらも勉強することになります。Rにしかないパッケージ、Pythonにしかないパッケージなどが存在するからです。どちらもそこそこ習得には時間がかかるので研究をする前に勉強しておくとかなり研究が捗ると思います。
プログラミングの勉強法
何から始めていいかわからなくなるのがプログラミングです。まずはRかPythonのどちらかを選択して勉強するのがいいと思います。どっちかと言われるとPythonが無難だと思いますが、バイオインフォマティクスのことのみを考えるとRでもいいです。私は最初にRを勉強しましたが今はPythonを勉強しています。
現在プログラミングはとても流行っているので勉強法を検索するだけでものすごくたくさんの方法が出てきます。「Python 勉強法」や「R 勉強法」と検索してみてください。
私はUdemyというオンライン講座を利用しました。Rに関しては英語の講座を利用しましたがPythonであればたくさん日本語の講座もあります。キャンペーンをたくさんやっていて数千円で講座を購入することができるのでおすすめです。
あとは1冊くらい参考書になる本があるといいかもしれません。プログラミングは大概のことがネットで検索すると出てきます。ただネット検索は調べた内容の周辺の知識は得られませんし、パラパラ適当に読むみたいなこともできないのでデメリットもあります。
Pythonであれば下記の入門Python3がおすすめです。
とりあえず何か初めて見るのが重要なのでこの記事で興味を持った方はUdemyなり、教科書なりで初めてみることをおすすめします。
尚、調べているとProgateなどの無料サイトをお勧めしているところがあると思いますが個人的にはあまりおすすめではありません。なんとなく無料だと続ける意思を保ちにくいからです。ただ好みもあると思うのでなんでもいいから始めてみましょう。
プログラミングについてのまとめ
いつかはプログラミングもコードを入力せずとも、ある程度のことができてしまう時代が来ると思います。しかし、まだコードを書かなくてはいけない時代です。最近では学校でもプログラミングが始まっています。使う必要がない人もたくさんいると思いますが、基礎研究ではきっと使う必要が出てくるので基礎医学研究を少しでもやる予定の人はRやPythonなどのプログラミングを勉強してみてはいかがでしょうか。
また勉強したいと思った方はなんでもいいので初めてみてください!
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