研修医の立場から「学生以上、医師未満」に対して思うこと。

M.A

先日SNSで研修医は「学生以上、医師未満」という内容が話題になりましたね。
テレビ朝日のドラマ「泣くな研修医」のTwitterにてこのフレーズが投稿され研修医は医師ではないかということで少し問題となりました。このツイートは削除されて作者及び公式ツイッターが謝罪するという流れになりました。
今回はこのちょっとした騒動に対して実際に研修医という身分から思うことについて書いてみたいと思います。

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泣くな研修医というドラマについて

このドラマは中山裕次郎先生の泣くな研修医という小説をもとにしたドラマです。
公式サイトには、

研修医たちの青春群像劇がこの春、誕生!! 自分の無力さにもがき、傷つく若者たちへ ドラマを通して熱いエールを!!

白濱亜嵐が初の医師役でテレ朝ドラマ初主演! 無力感に打ちのめされ、葛藤しながらも成長していく研修医たちの青春群像劇が誕生!!

土曜ナイトドラマ 泣くな研修医 公式サイトより https://www.tv-asahi.co.jp/nakuna_doctor/#/?category=drama

といった内容が書いてあります。

内容としては

地方の大学医学部を卒業して上京し、都内総合病院の外科で研修することになった研修医の雨野を待っていたのは、何もできず、何もわからず、先輩医師や上司からただ怒られるばかりの毎日。だが、患者さんは待ったなしで押し寄せます。医師とはいえ、研修医はまだ知識もない、経験もない、まだ何者でもない――。傷ついた患者や、時に救えない患者を前に、無力である現実に打ちのめされ、葛藤し、幾度となく涙を流しながらも“医師”という職業への強い思いと熱意を失わず、同僚の研修医たちと共に成長していく姿を描いていきます。

土曜ナイトドラマ 泣くな研修医 公式サイトより https://www.tv-asahi.co.jp/nakuna_doctor/#/?category=drama

と公式サイトに書いてありますね。

内容に関しては割と共感できるという先生方も多いのではないでしょうか。

公式サイトはこちらです。

土曜ナイトドラマ『泣くな研修医』|テレビ朝日
2021年4月24日スタート【毎週土曜】よる11:00~放送、テレビ朝日 土曜ナイトドラマ『泣くな研修医』公式サイト。白濱亜嵐初の熱血医師役でテレ朝初主演!研修医たちの青春群像劇がこの春、誕生!!

研修医をテーマにしたドラマは今までもいくつかありますね。
有名なのはやはりコードブルーとかですね。

「学生以上、医師未満」について

今回問題となってしまった「学生以上、医師未満」という研修医に対しての表現ですが、医師としての能力といった観点から考えるとまさにその通りだと思います。

そもそも研修医とは

簡単に言えば医学部を卒業した新人の医師です。

医学生時代はCBT、OSCEという試験を合格するとStudent Doctorという資格を与えられて、病院内で実習を行うことができるようになります。そして簡単な手技はこの資格だけでも行うことができますがもちろん高が知れています。

そこから医師国家試験に合格すると様々な病院に就職し最初の2年間は初期臨床研修医として医師としての仕事を本格的に学んでいきます。

初期臨床研修医は様々な診療科をローテートという形で数ヶ月単位で経験します。そして3年目になると一つの診療科を選択しその診療科を極めていくという流れになります。もう少し詳しいことは下の記事にも書いているので参考にしてみてください。

ここまでの内容から考えると研修医とは学生を卒業したばかりの新人であり、経験も浅いので「学生以上、医師未満」という研修医に対する表現は間違っていないようにも感じます。

「学生以上、医師未満」の問題点

今回問題となったのはやはり未満という表現の捉え方でしょう。厳密に言えば未満という表現はその対象自体は含まないため医師ではないという表現になってしまいます。ただ研修医は医師国家試験に合格しており、医師であるという点から考えると言葉の上では確実にこの表現は間違っているということになります。

実際の研修医として思うこと

実際にこの表現に対して研修医である私がどう思うかという点ですが、私はこの表現を作成した人の意図はとても理解できると思いました。

研修医は医師ではありますがベテランの医師と比べるともちろん知識や手技の技術は伴っていません。今回のドラマで描こうとしている医師ではあるが実力がないためまだ人を救うことができないという点は紛れもない事実だと思います。

多くの研修医はこの事実を理解しておりこのツイートの真意は分かっているんじゃないかと思います。このような発言で傷つくような研修医はよほどプライドが高くない限りいないのではないかと思います。

ただ私はこのツイートから研修医は医師ではないと捉えてしまう患者さんがいると問題ではないかと思います。

確かに研修医に実力は伴っていませんが、現在の日本の医療の大きな一部であることは間違いありません。研修医も日々の診療で知識や技術を身につけておりできることもたくさんあります。できないものは上級医に相談するなど適切な対応ができる人が多いです。実際、研修医がいないと成り立たないような病院もありますし、多くの病院の夜間休日の救急外来で研修医は活躍しています。

しかし、今回の一件から研修医を病院で目にして「医師ではない人間に診療してほしくない。」「研修医に診察されるのは心配だ。」と過剰に反応してしまう患者さんが現れてしまうことが個人的には心配です。研修医に診察されたが医師ではなかったのかなどというクレームも来る可能性があるんじゃないでしょうか。まああまりいないとは思いますが。

やはり研修医は医師ではないという事実と異なり誤解を産む表現は問題だったと思います。

まとめ、私がキャッチフレーズを考えるなら笑

今回は泣くな研修医というドラマの「学生以上、医師未満」という表現に対して研修医と医師としての意見を書いてみました。個人的には研修医が傷つく、失礼だということよりも研修医は医師ではなかったのかというような誤解を生む方が怖いのではないかと思いました。

今回の件に関してはどんな意図であったにせよ、研修医は医師ではないという事実とは異なり誤解を生む表現になったしまったことは問題だったんじゃないかなと思います。

最後に私がこの内容に関してキャッチフレーズをつけるならどんなのがいいかなと考えてみました笑。

「目指した医師はまだ遠い」

なんてどうですかね笑。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
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