【研修医による】麻酔科1ヶ月の感想

M.A

麻酔科は多くの研修医がローテートすることになる診療科だと思います。どの診療科もそうですが自分がどんな仕事をするのか始まるまでよくわからないですよね。今回は麻酔科で研修医はどんな仕事をするのかまとめてみました。大まかな仕事の流れと1ヶ月を終えた時点での感想を書いてみます。

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術前回診

術前回診は毎日行います。
そこで麻酔の同意書をとります。毎日行なっているので流石に説明が上手になった自信があります笑。
翌日の手術のオーダーも立てますがこれはまだ少し難しいです。
手術の種類が多すぎるためこの手術ではこれを注意するといったことがまだ慣れていません。この手術は出血が多くなる可能性があるからAラインをとって、Vラインは2本とるなど判断しますがここら辺は経験なので難しいです。大人は絶食は当日0時、絶飲は手術の2時間前ですが子供は絶食6時間前、母乳4時間前、水2時間前だったりします。
術前の内服薬の可否も難しいです。
朝は基本的に内服はしなくてもいいものはしないべきです。吐くと挿管にも影響するため術前は胃の中を空にします。内服するものでよくあるのはβブロッカーとCaブロッカー、ホルモン系、抗てんかん薬、スタチンなどですかね。Caブロッカーやスタチンは麻酔科チェックノートに書いていないような気がします。

とにかくいろいろ難しいです。

カンファレンス

カンファレンスは重要なことだけ発表します。これも先生によって重視するところが違うので難しいです。

手術

最初はライン取りですがAラインよりもVラインのほうが難しいんじゃないかと思うこともあります。橈骨動脈は大体しっかりしていますが手背の静脈はしっかりしていない人も多いです。そんなくねくねした血管に16Gを入れるのは難しいですよね。まあ18Gでもいいんですが。16Gってなかなか麻酔科以外で使いませんがかなり太いです。絶対刺されたくないですね。

Aラインは麻酔科にはガイドワイヤー付きの穿刺針も用意されています。最初これもいいよと言われいたんですがある先生に値段を聞いてから使わなくなりました。普通のサーフロー針は200円くらい見たいですがガイドワイヤー付きは2000円くらいするみたいです。研修医が使うものではないですね。

挿管は慣れてきましたがやはり難しい人は難しいです。なぜ上級医の先生はできているのかわからないです。

麻酔中の管理に関してはふわっとしています。何かした時に血圧が上がれば鎮痛が足りないのかなということで鎮痛の麻薬を増やし、血圧が下がれば昇圧剤で対応しますね。

麻酔中に記録をつける仕事もあります。これは流石に慣れてきました。あとは基本的についている先生に色々教えてもらったり雑談したりですね。

手術が終了するとまた忙しくなります。薬を切って覚めるのを待ちます。覚めてから意識を確認して気道内、口腔内を吸引して抜管します。抜管は基本的に加圧抜管ですね。ただ吸引のタイミングだったり抜管の方法なども色々あるので難しいです。
あとは移動に向けて準備をして退室です。退室後には片付けも行います。

経験した手術

とにかくいろいろな手術を経験しました。

いろいろな手術を経験するというだけでも麻酔科の研修は面白いと思いました。
形成外科以外は経験したと思います。消化器は肝臓や食道がんも経験しました。呼吸器外科も一度経験しました。心臓血管外科も途中だけですが経験しました。
なぜか泌尿器科によく当たります。泌尿器科は学生の時に経験しなかったので少し面白いです。ロボットだったり経尿道手術だったり少し他の診療科と手術が違いますよね。泌尿器科は麻酔管理としてはそこまで難しくないので研修医向けだと思います。

感想

麻酔はかなり突き詰めると奥が深い分野だと思いました。今はawake craniotomy(起きた状態での脳外科手術)などもあります。薬に関しても今の薬は切るとすぐに覚める良い薬になっています。今の麻酔は飛行機に乗るよりも安全になってきているみたいです。

最初のうちはなかなか慣れなくて大変でしたが徐々に慣れてきて余裕も出てきました。ただここ2週間で当番に入った日2日とも胸部腹部大動脈解離の朝までの手術だったのはとても疲れました。2回目に関しては出血量が13Lと人間3人分くらい出血していました。輸血を繋いだりとやれることも多いですがその分疲れます。

麻酔科は他の診療科とは少し違う診療科です。基本的に他の診療科の患者さんと麻酔中やICUにいる間だけ関わります。ずっと同じ患者さんを見るということはありません。個人的にはもう少し長い間人と関わる診療科の方が面白いのかなとも思いました。
1日の細かい流れは次の記事にも書いています。

考察

麻酔科医は手術が行われる限り必要な診療科だと思います。ただその仕事内容に関してはもちろん上に書いたように奥が深いところもありますが、単純な部分も多いと感じました。例えば麻酔の導入に関しても決められた量の薬剤を入れるだけで眠らせることができます。血圧が下がった時はエフェドリンやフェニレフリンを入れます。急に血圧が上がったりする時は痛みを感じていると考え痛み止めの量を増やします。これらようにこれが起きた時はこうするという決められた対応がかなり多いです。

このことに関しては麻酔科をすでに選んだ若い先生も言っていました。心臓麻酔など色々奥が深いと思っていたがなんだかんだ勉強すればするほど単純に思えてくるようです。
あとはやはり縁の下の力持ち的な存在であり表舞台には立たない存在なところもあります。手術を行うのは外科医であり患者さんに感謝されることも少ないような気がします。なんでこの手術をやっているんだろうと思う手術も引き受けなくてはいけません。色々と思っていることを言いにくい立場な感じもあります。

一方で麻酔科は一番頭が良くなくてはいけない仕事なんだと言っている先生がいました。これもその通りだと思います。あらゆる手術の流れを覚えて、基礎疾患についても勉強しあらゆる検査にも詳しくならなければいけません。とても難しい診療科でありとても重要な診療科だと思います。ただどうしても麻酔という領域は応用が少ない分野にも感じました。研究もどうしても麻酔に関しての内容になってしまいます。これだけ頭のいい先生も多い中少し勿体無いようにも感じた1ヶ月でした。

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